やがて、立場が逆転して、私が教える側になってみると、教えている生徒の能力が驚くほどみえてくるのである。
その一番の事例がK.K.君の場合であろうか。私が他の塾に勤めていた時、彼は小学六年生で、夏期講習に数度みる機会がありました。そのとき、これはとんでもない能力があると確信しました。それで、彼の姉さん（彼女も私が教えて、早稲田の商学部に現役で入っていた）に、後で私の所に連れてくれ様に言っておいてのです。すると、水戸一高に合格してすぐに二人の友達を引き連れて私のところにやってきました。
すると、その能力たるや、私の想像をはるかに超えるものでした。当時テキストに赤チャートを使っていたのですが、翌週には前週の説明から次の事項の理解をしているのです。もちろん学校の成績は常に1、2位を争っていました。さらに、高三になって大学入試問題演習を始めると、どんな難問を出題しても自力で解こうとし、私が教えようとすると、怒り出すのである。時間がかかっても、必ず自力で解くのである。そして、高三の九月には京都大学総合人間学部A判定をとって軽々と合格したのでした。
この時になって、改めて荒木先生や岡田先生の示唆したものがみえてきました。K.K.君ほどではないけれども。
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