水戸のイベントレポート
水戸カルチャーを率先して造り上げるイベント『Feel it』がついに始動
「水戸を自分達の力で盛り上げたい」グルグルと心の奥で渦巻いていた熱い気持ちを形にするべく、開催されたサーキットイベント『Feel it』。
オーガナイザーはKnowVillAgeさん。
もともと『Feel it』は、Ola Munchies Cafeのレギュラーイベントとして水戸のサブカルチャー愛好家達に親しまれているが、今回は水戸市内にある12店舗の飲食店・洋品店を巻き込んでのサーキットイベントという形で開催に踏み切った。
開催の経緯は「水戸の街をサブカルで盛り上げたい」と、水戸とサブカルチャーを愛する人達が集まったというとてもシンプルなもの。
若者には馴染みがないかもしれないが、1990年代~2000年代の初頭にはあまたのアーティストが水戸から輩出されており、「茨城の箱といえばココがマスト」と全国的にも有名な老舗のライブハウスやクラブが点在している。
また、昔から水戸駅北口は茨城県民にとって文化の発信地として栄えていたこともあり、水戸市内には流行に敏感なサブカル好きな人間が多く息を潜めているのだ。
そんなポテンシャルをふんだんに秘めた水戸だが、郊外の発展につれ水戸駅北口の利用者と共にサブカルチャー流行の勢いはスローダウンしてしまった。
「もう一度あの頃の高揚を」サブカル黄金時代を生きていた遊びのプロ達が、内に秘めていた熱を形にしたものがサーキットイベント『Feel it』。
水戸の街中が音楽とサブカルチャーで一つになり、年齢性別を問わず多くの世代を巻き込んだ新たな時代を築くための大きな一歩になるだろう。
日曜の昼下がりから12店舗で同時開催された『Feel it』だが、一つ一つの会場がそれぞれの魅力を最大限に生かしていた。
屋上にDJブースを設置していたM-WORKでは、DJの百式が自然と体を揺らしたくなってしまうロックナンバーをプレイ。
「野外フェスに来ている」と錯覚させるほどに開放的なその空間は、サーキットイベントの枠を良い意味ではみ出していたように思う。
一方、BACK PACKERの屋上では、ロックンロールに合わせてツイストを踊るイカした大人達が全力で遊んでいた。
ガッチリとリーゼントを決めてレトロなファッションに身を包んだ彼らは、思わず「自分もこんな風になりたい」と憧れを抱いてしまうほどに格好良い。
主催店であるOla Munchies Cafeの二階では『ダンスde Feel it』が行われ、子供達が思い思いにダンスを披露していた。
さすがはキッズ、吸収がとても早く講師のSEIRA先生による教えを見事に体得していた。
「もしかするとここから未来のダンサーが生まれるかも」そんなことを思ってしまうほどのエネルギッシュさを感じ、期待で胸が膨らむ時間だった。
また、同店舗の一階ではライブペイントが並行的に実施され、才能豊かなペインター達が溢れ出す想像力を解き放っていた。
私が足を運んだ時は、伊敷トゥート・ナリタヒカリ・R2Kというメンツが筆を走らせており、同じイベントで同じライブペイントをしているとは思えないぐらい、各々が個性を爆発させたライブペインティングをパフォーマンスしていた。
古着屋MAGICAL MYSTERY TOURでは、洋服達に囲まれながらハードコアバンドSHINE FASTがフロアライブを行い『古着屋×音楽』という今までにありそうでなかった異空間を生み出していた。
音楽とファッションはストリートカルチャーを語るには切っても切れないものであり、水戸がサブカルチャーの原点を体現した瞬間だったかもしれない。
片や、アパレルショップBABACOOLではレゲエイベントには欠かせないジャークチキンを振舞っていたりと、『Feel it』に集結した店舗・ジャンルの幅の広さがうかがえる。
イベント中にも街中ではスケボーを片手にスケーター達がゴミ拾いをしていたり、翌日には早朝からエナベルの皆さんが開催場所周辺の清掃を行っていた。
サブカルチャーを楽しむことだけでなく、水戸を盛り上げより良くしていこうという心意気が伝わってくるし、茨城に住むサブカル好きとしては本当に頼もしく感じる。
この日水戸の街に溢れたサブカルチャーの数々は、水戸のストリートシーンを造り上げるための大きな軸になることは間違いないだろう。
若者は大人の全力の遊び方を知り、大人は酒と音楽を心から楽しんでいた昔の感覚を思い出す。
「サブカルチャーが好き」という共通意識を持った老若男女が体を揺らし、時には語り合い、新たな世界や人間に出会える場になっていくことは明白だ。
開放感のある屋上から見る水戸の街は、いつも見ている景色なのに違う風景に感じた 。
音楽と人の熱気が変化させたのかもしれない。
最高のDJ陣がプレイする傍らでカレーの販売をしており、ついついお腹が鳴ってしまった。
音楽欲と食欲の両方を掻き立てられる。
HIP HOPに魅了されたDJ達がスクラッチバトルを繰り広げていた。
年代物のレコードが揃う店内は、アナログレコード好きにはたまらない空間だ。
ライブ開始の13時には店内は満席になっていた。
バンドの生演奏に対するお客さんの期待がうかがえた。
休日の午後から酒を片手に音楽を楽しむ、至高のひととき。
若者が多く集まっていたが、しっかりと大人達から遊び方を伝授されている様子。
「野外・音楽・酒」このシチュエーションに勝てるものなどないのでは?
聴きなれたロックナンバーも、DJの手に掛かれば新鮮なダンスチューンに。
ダンスビギナーのキッズ達も先生の分かりやすく熱心な指導のかいあって、最後にはビシッと締めのポーズをキメれるまでに成長。
レッスンが終わってからは、頑張ったご褒美にたくさんのお菓子やおもちゃをもらってニッコリ。
同じ真っ白なキャンパスから描き始まったとは思えないほど、それぞれの個性が光るイラスト。
仕上がりはもちろんだが、ペインティングの手法や使う道具も全く違うのがおもしろい。
マスターが作るハンバーガーは絶品。
屋上では、令和に生きるロカビリー野郎達がロックンロールを楽しんでいた。
バンドとオーディエンスの熱量が同じになりやすいのがフロアライブの醍醐味だろう。
古着独特の匂いとフロアが一体になった熱気は、ロック好きを昇華させる空間だった。
大内本舗ではプチ野外フェスが開催されていた。
気の知れた仲間と音楽で遊ぶ、最高の雰囲気が出来上がっていた。
ソウルミュージックを楽しみながらサブカルチャー好きが仲を深める。
お酒を片手に自己紹介さえしてしまえば、打ち解けるのに時間はかからない。
耳ざわりが良く心が躍る音楽は、子供達も思わず体をゆらゆら。
音楽に年齢なんてものは関係がなく、気持ちを突き動かすことを証明していた。
イベントを目当てに来た人、たまたま水戸を歩いていた人、車で通りすぎていった人。
目的は違えど、あの日あの空気に触れた人達は心のどこかで「いつもの水戸とは何かが違う」と思ったはずだ。
それぐらい水戸駅北口には人が集まっていたし、全盛期だった頃の銀杏坂を思い出すようなエネルギーに溢れていた。
「もっと水戸に活気を」グルグルと心の奥で渦巻いていた願いは、サーキットイベント開催という大きな嵐を巻き起こし、実際に足を動かし遊び回る事で実現出来たように思う。
まだまだたくさんの可能性を秘めたサーキットイベント『Feel it』は、次回11月24日(Sun)に開催予定。
良い南町の日曜日を味わいたい人は、是非チェックして欲しい。
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