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水戸のイベントレポート

水戸の演劇シーンを知る絶好の機会! 第51回水戸市芸術祭「演劇フェスティバル」

多彩な才能が交錯する個性豊かな劇団それぞれのステージ

演劇フェスティバル実行委員会プロデュース公演「君の手に星の果実を」より(撮影者:掛札真人氏)

2019年5月より約3か月にわたり開催された第51回水戸市芸術祭。

美術、伝統芸能、ダンス、音楽、演劇と幅広いプログラムが組まれ、多くの市民がその日頃の芸術活動の成果を披露した。

その中のひとつ「演劇フェスティバル」は、8月16日(金)~25日(日)の2週間にわたり、水戸芸術館ACM劇場で開催された。このフェスティバルは、水戸市内または近郊で活動する劇団が多彩な演目と個性豊かな役者たちで作り上げる演劇の祭典である。

水戸の演劇シーンを垣間見るには絶好の機会。2週間にわたって上演された5演目すべてを観劇し、それぞれの劇団や役者の多彩な才能を堪能した。その体験レポートを演目ごとにご紹介したい。






8月16日(金) 茨城大学演劇研究会 「僕たちの好きだった革命」

堤幸彦の原案を鴻上尚史が脚本・演出し、中村雅俊が主演した舞台の初演が2007年。その作品を茨城大学の学生サークルである茨城大学演劇研究会が若さあふれるエネルギーで上演した。演出・潤色は当劇団の山下真礼氏。




【あらすじ】

1969年加熱する学生運動中、機動隊による水平ガス銃で意識不明となった高校生が、30年後の1999年に目覚め、再び母校に復学する。学生運動に身を投じ30年の時代ギャップもつ彼は、同じ高校生として1999年の「現役」クラスメートとはなじまない。滑稽でちぐはぐな交流は、文化祭をきっかけに次第に歯車がそろいはじめ、とうとう1969年の革命の再現へと物語は進んでゆく…。




たかが学生サークルのお芝居とはあなどれない。学生たちのエネルギッシュな演技は、スタートこそややぎこちなさも感じたが、物語の展開とシンクロするようにセリフや笑いのテンポも加速し、いつの間にか観客はその世界に入り込んでいた。昭和、平成、令和と時代が移る中で変わる社会と変わらない社会を、激動の時代を生き、時代を超えて「革命」する主人公がクラスメートに与えたものは何だったのか。実年齢も近いであろう役者たちのエネルギーは登場人物たちがもつ鮮烈なエネルギーともシンクロする。そして最後には心を揺さぶられるような大きな感動にまで連れて行ってくれた。




興奮したのはそのアクチュアリティだ。無関心で従順な現代の若者像、権力による規制、自主性(民主制)を求める学生、メディアによる拡散、力による弾圧と犠牲、繰り返される歴史、瞬発的な感情が決定する結末。どれも現在進行形の社会問題を想起させる。この作品を選んだのが偶然でもそうでなくとも、流行や時代に敏感な若い感性だからこそと思え、その旬なエネルギーそのものが輝いて見えた。

そして心憎い演出も。入場時に渡された茶封筒だが、中には本公演のパンフレットと他公演のチラシが入っている。この観客が持ち帰らせるにはちょっと地味なアイテムが秀逸な小道具としてそれぞれの日常に接続するかのような役目をはたす。

機会があれば是非にと人にすすめたい、鮮烈なエネルギーにみち、若者たちのすがすがしい顔がまぶしい舞台だった。

8月17日(土)18日(日) 演劇フェスティバル実行委員会プロデュース公演 「君の手に星の果実を」

水戸市近辺で活動する役者が揃い、やはり水戸で活動するプロフェッショナルファウル所属・能村圭太氏によるオリジナル作・同氏による演出。「平成」から「令和」へと時代が変わった現在、時代を超え劇団の垣根を超えたキャストが色鮮やかに織りなすエンタメ作品だ。

参加団体は、演劇事務所‘99・キミトジャグジー・heart dream shoppers・茨城大学演劇研究会・演劇集団「風ノ街」・玉造座・千年企画。



【あらすじ】

どこか遠い宇宙での話。オーブオーリス帝国が小国への侵略を進め、とうとうアルバリー王国の姫を幽閉。友国バレンシア王国が中心となり周囲国は反乱軍を結成。バレンシアの王子オランジェの盟友マスカッツは幽閉された姫のため奔走する。姫はこの銀河の存在に関わる重要な役目をもっているのだった。以前は学友でもあった登場人物たちはそれぞれに何かを心に秘め、おのれの信じる道を突き進むが…。




SF感がありながらカラフル&ポップな印象の盛りだくさんな舞台だ。ゲームやアニメの世界観を取り入れつつ、地元ネタも随所に織り込む笑いに富んだ作品で、地元ならではのユーモアについほくそ笑んでしまう。

目を見張ったのは、そのキャラクターの多彩さだ。次々と登場するフルーツにちなんだ登場人物は、それぞれに個性が際立ち、かぐわしい果物の香りを漂わせるようなみずみずしくも変わったキャラクターたちばかりだ。上演中盤には推しキャラができてしまう観客もいたのではないだろうか。




物語が進むにつれて舞台背景やキャラの背景も明かされてくるので、謎とき要素もあり、その面白さはやはりRPGゲームをプレイするのに似ている。

一方、軽快に進むストーリーに登場する人物たちはそれぞれにコンプレックスやトラウマを抱える等身大のキャラでもある。

多彩にちりばめられたそれぞれの要素を個性あふれる役者の演技がさらに色彩豊かなものにしていた。随所に挟まれるナンセンスなユーモアも物語が進むとともに癖になってくる。ひとつのボウルのなかで、様々なフルーツがその個性豊かな味や香りや色や形でひしめき合うフルーツポンチのように、愉快でキッチュでジューシーな舞台だった。

大人も子供も楽しめる、イマジネーション豊かな世界観とアニメやゲームのプレイ感覚は夏休みにぴったりの作品であった。


(演劇フェスティバル実行委員会プロデュース公演「君の手に星の果実を」 撮影者:掛札真人氏)

8月23日(金) 特定非営利活動法人創 舞踊劇団「創」(生まれる) 「和、≒ほんきで役沈下」

1980年より活動を続け、健常者と障碍者が一緒に舞台を創る舞踏劇団「創」(生まれる)

代表の大海日出子氏が中心となり、今回の演劇フェスティバル5公演の中で一番大がかりな舞台美術の中で演じられた。舞踏家やシンガーソングライターら、プロフェッショナルと障碍のある劇団員がひとつのステージで共演した。




【あらすじ】

舞踊劇を通してバリアフリー社会を推進する舞踊劇団「創」(生まれる)

和太鼓、アフリカの太鼓、自然生クラブと琴の競演、そして代表の大海日出子氏がゆかいな仲間たちと仏の世界を作り上げる。

それぞれの個性を大切に舞台を創り、舞踏家、シンガーソングライター、箏・三絃奏者、津軽三味線演奏家らプロと自由な感性の劇団員が同じステージに立つバリアフリー舞踏劇。



まず目を見張るのはステージの天井から床までの巨大絵画だ。竹とんぼをモチーフに情緒豊かな風景と抽象的で力強い作品が一面を覆っていた。その迫力と伸びやかな画風はそれだけで感嘆に値する。

また、障碍者も健常者も同じ舞台にたっての作品は、感性をダイレクトに刺激する非常に直観的な創造にあふれていた。ダンスのフリを忠実に演じる者もいれば、自由奔放に歩き回る者もいる。プロの歌手や音楽家が完成度の高いパフォーマンスを披露し、その音や動きに酔いしれながらも、一方で障碍をもつ劇団員のパワフルさやその集中力、そして型にはまらない躍動感に新鮮な感動も覚える。表現方法は違うが同じ「生」を感じるものを、同じステージ上で観ることができることそのものに、根源的なものに対する感動があった。




客席では応援の声があちこちで聞くことができ、劇団員の姿そのものに対する暖かな視線に包まれていた。生きることと共生することの実践を目の当たりにできる独創的なこの劇団の舞台が問いかけるのは、実は、障碍をもつものももたないものも、プロもアマも、生あるものが皆等しく与えられている輝きに境界を引くことの意味、または無意味かもしれない。

ボーダーレスの叫ばれる現在、多くの気づきと生あるものへの愛しさを覚えさせてくれるステージだった。

8月24日(土) 演劇ユニットこれっきり 「ドラァグクイーン殺人事件―夜のカマドより愛をこめて―」

茨城大学の演劇サークル演劇集団「風ノ街」出身のメンバーが2015年に結成した「演劇ユニットこれっきり」によるオリジナル作。

ビジュアルでのインパクトは今フェスティバルの中でも随一。妖艶な色気と絶えず挟まれる笑いが観客の目と心を奪う愛ある作品。




【あらすじ】

往年の有名ドラァグクイーン・デグラ=ミソスがママをつとめる場末のバー。従業員のオカマ、トマト=ズッチーナが出勤すると、店内に生首が落ちているのを見つける。それは、同じく従業員のオカマ、アンジェリーナの首だった…。

往年の有名ドラァグクイーンのママと彼女(?)を慕う個性的なオカマたちが引き起こすサスペンス&アドベンチャー。



ビジュアルの迫力が機動力となって仕掛けられる笑いと勢いに徐々にハマりつつ、最後まで楽しめる作品。ドタバタ劇を気軽に楽しむサスペンス・コメディかと思いきや、終盤に明かされる殺人事件の意外な真相は、体格も存在も大きいドラァグクイーンの大きな愛を感じるラスト。3人のオカマが主要人物だが、そのキャラクターの個性を描きわけ、単なる際物をキャラに仕立てただけではないドラマ性が、ラストシーンの余韻を深くしていた。




突飛な設定や現実的ではないフィクショナルさも、キャラクターと役者の勢いでむしろバランスがとれているのが不思議だが、この世界観の魅力だろう。三人のオカマ以外の登場人物も、世代を継ぐ者としてのプレッシャーから世界一を目指すヤクザや沖縄の離島で伝説の湖を守るこれまたオカマなシャーマンなど、それぞれに個性豊かでユニークだ。

何より5公演中一番の人間ドラマとしての色気とインパクト大のビジュアルを携えていたのはこの作品だった。

始終ドタバタとコメディ調で展開するが、その分、ラストの人間ドラマが沁みる。強烈なビジュアルインパクトを超えるラストシーンに大きな愛を感じる作品であった。

8月25日(日) 劇団OH-NENS 「社長吸血記」

奇才ケラリーノ・サンドロヴィッチの傑作群像劇を、当劇団代表・関勝一氏が演出した。関氏いわく「こんな脚本に出会ったのははじめて」(公演パンフレットより)とのこと。ブラックでナンセンスな恐ろしさがつまった作品。




【あらすじ】

物語はとある会社の屋上で展開する。行方不明の社長、どこか不穏な社員たち、唐突に現れるシュールな探偵、うさんくさい隣人、脈絡なく集い無秩序な行動をするOBたち。

よからぬことが進行しているのを予感しつつも、最後までその真相は見えない。淡々としかし奇天烈に物語は進み、カオス的展開を迎える。



最終公演にふさわしい(?)どこか滑稽で恐ろしくもある不協和音のような作品だ。

まずいえるのは演じる役者たち達者であること。一度は会ったことがあるようなありふれた人物たちがごく普通の日常を送っているようだが、どこか違和感がある。それを間合いやちょっとした動きで感じることができる。

見慣れた日常の風景もよくよく観察すると、多くのカオスや矛盾、不条理が見つかったりする。偶然居合わせてしまった意味不明な出来事の経験はないだろうか。または、今だ解明できていない不可解な事件で真相が闇に葬られてしまった事件。それをメディアで知った時に残るぬぐいきれない不気味さ。

そんな日常からは排除されている不条理とカオス・善悪のない世界が存在することを、この作品はつきつけているようだ。

このブラックなユーモアとカオス的世界観をリアリティをもって演じた役者たちは見事だった。日常に潜む不条理をリアルに感じさせ、世界への眼差しが少し変わる。非常にアーティスティックな作品に挑戦した劇団の気概に大きな拍手を送りたい。フェスティバル最後の演目にふさわしい、劇場の外へでても胸の内で響く素晴らしい不協和音だった。

水戸の演劇シーンはまだまだ熱い!

以上、8月16日から25日の2週間にわたって開催された演劇フェスティバル、それぞれの鑑賞レポートだ。多彩な作品と劇団、役者がそろっていたことがわかっていただけるだろうか。

水戸には他にも個性豊かに活動する劇団やユニットが多数あるという。今回垣間見た水戸の演劇シーンはほんの一部であるのだろう。今後、その全体像を探るべく引き続き注目していきたいアートシーンのひとつである。皆様も気軽に足を運んでみてほしい。お気に入りの劇団や役者、そして夢中になれる世界観に出会えるかもしれない。


(画像提供:演劇フェスティバル実行委員会様)

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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