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水戸名物の納豆に疲労抑止効果? 疲労物質が発見され、研究結果が発表されました!
疲労の原因となる疲労物質が発見されたというのをご存知ですか?
2019年に『疲労による健康障害の分子機構に基づく予防法の開発 (2019)』という論文が発表されました。
疲労については長年、乳酸が原因とされていたり活性酸素が原因とされていたりと、定説が無いままでした。
それを東京慈恵会医科大学医学部ウイルス学講座/疲労医科学研究センター近藤一博教授のチームがほぼ確定的に発見した事で、全国の栄養ドリンクから「疲労回復」の文字が消えるなど、疲労に関する商品各種の研究が大きく変わってきています!
東京慈恵会医科大学医学部ウイルス学講座は、疲労学会などを主催し疲労に関する研究をウィルスを通じて行っている研究所です。こちらの研究所がヘルペスウィルスが「疲労物質」を感知して人体からの脱出の動きをすることから疲労物質を突き止めたとの論文を発表しました。
いわゆる疲労感は「炎症性サイトカイン」という物質が脳を刺激する事で感じ取るという研究結果があります。
栄養ドリンクは「炎症性サイトカイン」の発生を抑える抗酸化物質などの成分を含有していますが、その効果の対象は、あくまで脳が感じる「疲労感」にだけでした。
重要なのは、「elF2αという物質がリン酸化することによって、タンパク質の合成を阻害してしまう」という点にあります。
つまり、タンパク質の合成が阻害されることで、徐々に臓器や筋肉の働きが衰えたり機能障害がおきたりすることが、疲労の原因だったのです。
これまでは、「炎症性サイトカイン」が「疲労感」として脳に警告を出すのを、栄養ドリンクやカフェインなどで抑えるというものが「疲労回復」と称されてきました。しかし、疲労物質そのものがなくなるわけではないので、栄養ドリンクやコーヒーなどで「疲労感」を抑えても、臓器や筋肉などのタンパク質の合成阻害がされなくなるわけではありません。
重要なのはelF2αという物質がリン酸化するのを抑制し、タンパク質の合成が阻害されないようにすること。
つまり、栄養ドリンクやカフェインなどで「疲労感」がでないようにするのではなく、疲労物質である「リン酸化elF2α」が出にくいようにすることが根本的な『疲労回復』に繋がるという研究結果です。
【疲労感を抑制するのではなく、タンパク質の合成が阻害されるelF2αという物質のリン酸化を抑制する事で疲労をしにくいようにする】
この認識がこれからの「疲労回復」のスタンダードになっていくかもしれませんね。
図解:上原記念財団 論文「9 疲労による健康障害の分子機構に基づく予防法の開発」より転載
疲労物質が発見されたことで、根本的に疲労回復するには「elF2αがリン酸化することを抑制する」という事が大事だとわかりました。
その効果がある成分として挙げられるものとして「ガンマーオリザノール」という米ぬかの成分と、納豆とチーズに含まれている「ポリアミン」があります。
特に納豆は高ポリアミン食として農林水産技術会議でも研究が進んでいます。
※出典:農林水産省Webサイト https://www.affrc.maff.go.jp/docs/public_offering/agri_food/2017/26055a.html
この研究により、これまで漠然と捉えられてきた「納豆は体にいい健康食」という認識も、「納豆にたくさん含まれるポリアミンが、elF2αがリン酸化することを抑制する」と説明することができます。
疲労を回復させるため、あるいは、疲労しにくい身体を作るためには、成人男性で納豆を一日1パックほど食べるのが良いようです。
これからは「疲労回復、あるいは疲れにくい体を作るために1日1パックの納豆を食べよう!」と納豆の街水戸から情報発信していきたいと思います!
※こちらの記事は以下の文献を参照または関係各所に確認の上、まいぷれ水戸編集室担当ライターが独自に執筆いたしました。
上原記念財団 論文「9 疲労による健康障害の分子機構に基づく予防法の開発」
近藤 一博教授(東京慈恵会医科大学 医学部 ウイルス学講座/疲労医科学研究センター)
農林水産省Webサイト https://www.affrc.maff.go.jp/docs/public_offering/agri_food/2017/26055a.html
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